テレビ東京『TXQ FICTION』謎が深まるモキュメンタリーホラーを紹介

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皆さんこんにちは、しょうきです!

今回は、テレビ東京が仕掛ける新感覚フェイクドキュメンタリーシリーズ『TXQ FICTION』について、その魅力と奥深さを皆さんにお届けしたいと思います!

『TXQ FICTION』とは、虚構の物語を事実を伝えるドキュメンタリーのように構成する映像手法、すなわちモキュメンタリーのジャンルに属する特別番組です。テレビ東京の大森時生プロデューサー、そして『フェイクドキュメンタリー「Q」』の寺内康太郎さんや皆口大地さん、『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』の近藤亮太さんといった、ホラー界隈で絶大な信頼を誇るクリエイターたちが制作を手がけています。彼らは、フィクションと明言しながらも、視聴者に現実と虚構の間の居心地の悪さ、「信用できない語り手」のような感覚を抱かせるという、独自の恐怖を追求しています。

第1弾:『イシナガキクエを探しています』

イシナガキクエを探しています

記念すべき第1弾は、2024年4月下旬から5月にかけて放送・配信された『イシナガキクエを探しています』でした。これは、という体裁で進行します。番組では、長年キクエを探し続けてきた米原実次氏の映像や、彼が所持していた不鮮明な写真、そして視聴者からの情報提供の様子が映し出されます。

番組は放送開始直後からX(旧Twitter)で日本トレンド1位になるほどの大きな反響を呼び、実際に表示された問い合わせ窓口の電話番号に電話をかける視聴者が続出するなど、そのリアリティが多くの人々を巻き込みました。視聴者は「不気味」「怖い」と感じつつも、番組内容が事実だと誤認したり、様々な考察を繰り広げたりと、その不可解な世界に深く引き込まれていきました。最終回が中途半端な形で終わったため、さらに多くの疑問と議論が巻き起こる結果となりましたが、それがまた「考察」文化を活性化させることにも繋がっています。

作品の核心には、米原氏がキクエの霊能力に目をつけ、降霊術で金儲けをしていた可能性や、儀式によってキクエの怨念を封じようとしたという説などが囁かれています。そして、顔が歪んだりカーブミラーに映らなかったりするキクエの写真は、彼女が霊的な存在になったことを示唆しているとも考えられています。2025年7月16日には、未公開の音声や資料、そして物語の最後に特別な映像も収録された書籍が発売される予定で、さらなる深掘りが期待されます。

第2弾:『飯沼一家に謝罪します』

飯沼一家に謝罪します

第2弾は、2024年12月下旬に4夜連続で放送された『飯沼一家に謝罪します』です。前作が「行方不明者の捜索」だったのに対し、本作は「ひとりの男性が飯沼一家に対して謝罪する奇妙な番組の真実を追う」という、また異なる切り口で物語が展開されました。

この作品では、飯沼一家と岸本良樹がハワイ旅行に行っておらず、実際には殺人事件や霊の出現が噂される「曰く付きの場所」を巡っていたことが判明します。その背景には、矢代誠太郎による「四十九日の裁き」と呼ばれる儀式が関係しており、この儀式を受けた4人に何かが取り憑き、共通の目的を持って「向こう側に行く」ことを目指していた可能性が示唆されています。特に、明正が撮影したビデオに映る輪っかや、奇跡的に輪っかを通過する紙飛行機の映像は、異界への入口とそこへ向かう乗り物を暗示しているという考察も出ています。

また、飯沼一家が抱えていた経営不振や、引きこもりで過激な言動があったとされる明正、そして家族全員から彼に向けられていた負の感情など、人間の深い闇が描かれています。明正がオカルトに傾倒していたことや、良樹の部屋から見つかった彼が撮影した祭壇のような写真も、物語の謎を深めています。さらに、スタッフが明正に火事について追求する際に暖炉の火のインサートが入るなど、番組側が明正を放火の真犯人と見ている可能性も示唆されており、物語は視聴者側に多くの解釈を委ねる結末となりました。

この作品の根底には、「謝罪という行為が持つ奇妙さ、虚しさ、滑稽さ、そしてそれを追い求める人々の狂気」というテーマがあります。謝罪が個人のものから、ある種の「儀式」として行われるようになった現代社会の姿を映し出しており、「罪は償えない」「恨みは消えない」といった人間の感情の根深さが追求されています。

第3弾:『魔法少女山田』と『恐怖心展』

https://www.tv-tokyo.co.jp/plus/entertainment/entry/202507/17180.html

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そして、遂に第3弾となる『魔法少女山田』の放送が決定しました。2025年7月14日、21日、28日の深夜24時30分から3週連続でテレビ東京にて放送され、TVerやU-NEXTでも配信されます。これまでのシリーズと異なり、が特徴で、「恐怖心」をテーマにしているとのこと。

この放送に合わせて、ホラー作家の梨さん、株式会社闇、そして大森時生プロデューサーが手がける『恐怖心展』が、2025年7月18日から8月31日まで渋谷で開催されます。この展覧会は「恐怖心」に着目し、「先端」「閉所」「視線」といった様々なテーマで展示を行う体験型イベントです。

私たちは、不快なはずのホラー作品を好む心理を「ホラーのパラドックス」と呼び、恐怖や嫌悪を伴うはずのフィクションになぜ私たちは惹かれるのか、という問いが投げかけられています。『TXQ FICTION』は、このパラドックスをまさに体現する作品群と言えるでしょう。特に『魔法少女山田』のテーマである「恐怖心」は、特定の対象への生理的な恐れや不安だけでなく、不合理な形で生じることもあるとされており、これは人間の感情が環境や文化によって後天的に作り上げられるという「構成主義的情動理論」の視点と重なります。この理論は、現実の危険からくる恐怖と、フィクションによって引き起こされる「F恐怖」(フィクションの恐怖)が、身体的反応は似ていても、その解釈や伴う快感において異なると示唆しています。『恐怖心展』では、この「恐怖心」に鑑賞者自身が向き合う体験が提供され、『TXQ FICTIONシリーズ』が描くフィクションの中の恐怖を、より深く自分ごととして捉えるきっかけとなるかもしれません。

「TXQ FICTION」が私たちを惹きつける理由

魔法少女山田

「TXQ FICTION』シリーズの魅力は、単なる怖い映像を見せるだけでなく、現実と虚構の境界を曖昧にし、視聴者が自ら物語の空白を埋める「考察」の余地を多分に残している点にあります。大森プロデューサーが「現実の複雑さを失わないこと」を大切にしていると語るように、怒りながらも笑ってしまったり、憎しみが生きる目的になったりといった、割り切れない人間の感情や行動がリアルに描かれています。この「人間的な怖さ」は、時に超常現象よりもゾッとさせられるものです。

『TXQ FICTION』は、テレビという公共メディアの信頼性を逆手に取り、あたかも現実に起きているかのような錯覚を生み出すことで、視聴者の想像力を刺激し、これまでにない没入感を提供しています。

ぜひ、この夏に放送される『魔法少女山田』と、連動イベントの『恐怖心展』で、あなたの「恐怖心」と向き合ってみてはいかがでしょうか? きっと、これまでにない「ゾクゾク」が待っているはずです!

ということで以上しょうきでした✨

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