2025年9月24日(水)、宝塚歌劇団(兵庫県宝塚市)は、宝塚大劇場で上演中の宙組公演で、劇団員による楽曲「海ゆかば」の歌唱を取りやめると発表した。
「海ゆかば」は、世界各地の港町が舞台のショー「BAYSIDE STAR」で使われており、宝塚大劇場で10月26日まで上演され、11月22日からの東京宝塚劇場公演では楽曲を差し替えるという。
本記事では、なぜ上演中の楽曲「海ゆかば」の歌唱を取りやめることになったのか考察したいと思います。


【宝塚】宙組公演『BAYSIDE STAR』とは?

- 宙組による二本立て形式公演で、前半が TAKARAZUKA MUSICAL ROMANCE『PRINCE OF LEGEND』、後半が ビートオンステージ『BAYSIDE STAR』 という構成。
- 『BAYSIDE STAR』は世界各地の著名な港町・港を舞台とし、横浜(トップスター桜木みなとの出身地である港町)を起点に出航・世界を巡る、ロマンティックで艶やかなシーンをハイビートな楽曲・演出で綴るステージとされている。
- 「港町めぐり」 のコンセプトを背景に、港町をテーマにした場面展開や海・船出などを感じさせる演出がなされている。
- 主演:桜木みなと(さくらぎ みなと)、春乃さくら(はるのさくら)。
- 公演期間は宝塚大劇場:2025年9月13日(土)~10月26日(日) 東京宝塚劇場:2025年11月22日(土)~2026年1月4日(日)
宝塚公式ホームページ⇒https://kageki.hankyu.co.jp/revue/2025/princeoflegend/index.html
フランスのマルセイユやアメリカのサンフランシスコ、そして我が国神戸等、世界各地の著名な港町を舞台に繰り広げられるショー作品。ロマンティックで艶やかなシーンの数々がハイビートの旋律で綴られてゆく。ノーブルで都会的な宙組新トップスター桜木みなとの魅力に迫ると共に、多彩な輝きを放つ宙組生達の躍動感溢れる姿を詰め込んだ、エネルギッシュで情熱的なステージ。
宝塚公式HPより引用
上演中の軍歌「海ゆかば」取りやめの概要
宙組公演『BAYSIDE STAR』の一部演出の変更について
宙組公演『BAYSIDE STAR』のS22Aにて使用している楽曲「海ゆかば」については、当該楽曲を歌唱すること、あるいは使用することに対し、様々なご意見を頂戴していることを受け、当社において熟考を重ねた結果、本日9月24日の公演より歌唱は行わないこととし、11月22日に初日を迎える同演目の東京宝塚劇場公演においては、楽曲そのものを差し替えて上演いたします。
お客様におかれましては、ご理解を賜りますようお願い申し上げます。
2025年9月24日
株式会社 宝塚歌劇団
宝塚歌劇団公式HPより
https://kageki.hankyu.co.jp/news/20250924_1.html
宝塚歌劇団は2025年9月24日の公演から、宝塚大劇場公演中はこの「海ゆかば」の歌唱を中止することを正式に発表し、東京公演(11月22日~)では、単に歌唱を中止するだけでなく、該当楽曲を差し替える方針が示されています。
『BAYSIDE STAR』のショー部分では、港町、海、出航などをモチーフにした演出があり、終盤近くで「海ゆかば」の歌唱を使う演出が組み込まれていました。
この「海ゆかば」の使用と歌唱については開幕当初から批判的な意見がSNS上などで出ており、「太平洋戦争時に戦意高揚のため使われた楽曲」であるという歴史性・感受性への配慮が問われていました。
宝塚側はこの判断について、「さまざまなご意見を頂戴しており、熟考を重ねた結果」としており、観客・ファンへの理解を求めています。
なぜ軍歌を取りやめたのか考察

近年、芸術表現の自由・過剰な自主規制への懸念が多く、多様性を意識した取り組みが行われています。
その影響で、戦争や差別を連想させる表現・演出に対して厳しい声が上がっています。
小規模の劇団などの公演ではあまり非難されることは少ないですが、宝塚歌劇団は大きく有名な存在ゆえに今回のような批判的な意見が多数あったのだと思います。
また近年2023年に起こった宝塚歌劇団パワハラ自殺事件もあり、宝塚サイドも慎重になり、今回の取りやめに繋がったと予想します。
皮肉なことに、この自殺事件と今回の公演は同じ宙組で取り上げられてしまいました。
取りやめについて様々な意見

この報道を受けファン達の間でも様々な意見が見られました。
賛成意見の声
「この曲をかっこいいシーンで使うのは違和感。鎮魂・反戦の文脈でもない」
「劇団には選曲・演出の過程で、もっと慎重に検討してほしい」
「この曲を使った舞台がこれまでにもあるが、それ自体が問題ではない。今回の使い方が問題」
反対意見の声
「もともとは奈良時代の歌。軍歌という側面だけで否定してしまうのは短絡的」
「この曲を知らない人は、歴史・楽曲の背景を理解していないから批判している」
「演出意図を尊重してほしい。劇団・演出家がこの曲を使いたかった意味を聞きたい」
まとめ

今回は、宝塚歌劇団上演中の軍歌がなぜ取りやめになったのか考察をしました。
近年における表現の自由は、ますます厳しくなっています。
今回の宝塚歌劇団の対応も苦渋の選択だと思われます。
このような事態にも負けずに、豪華で煌びやかな宝塚らしい作品を期待したいです。
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